2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

黒澤明『夢』の「赤富士」で原発爆発

黒澤明監督は1955年の『生き物の記録』で水爆への恐怖を描いている。 そして、1990年の『夢』の中で原発の脅威を描いている。 オムニバスのこの映画の中の「赤富士」というエピソードで、原発が爆発し、富士山が真っ赤に燃えて溶けていく。 原発の存在を痛烈…

ヘラクレスに助けられたプロメテウス

本を読んでいたら、ギリシャ神話のプロメテウスは、ヘラクレスに助け出された旨が書いてあった。 人間に知恵を授けて、ゼウスから怒りを買って、岩に縛り付けられて、毎日内臓を食われる罰を受けていたところだったそうだ。 誰でも知っている話かも知れない…

墓参

今日3月27日は、高校の吹奏楽部の同級生の、命日である。三十歳を前にして亡くなってしまった。あれから、18年にもなる。 毎年、墓参をすると、服が線香でいぶされて、いつも、煙のにおいをまとって、帰ってくる。 梅が終わり、沈丁花が香り、桜を持つこの時…

花粉症か風邪か

今月の初め頃に、猛烈なくしゃみと鼻水症状が出て、ああ、これで私もいよいよ花粉症になったと思った。これまで、花粉症になったことはなかったのだが。 夜には喉がひどく痛くなり、花粉症でも喉が痛くなると聞いたことがあったので、いよいよこれから毎年花…

バブル経済の頃の切なさ

今、ある仕事のために、過去25年ほどの社会事象を調べて書き出している。 ちょうど、バブル経済の頃のことを見ていると、何とも切なくなる。あの頃、周囲の熱気に乗り切れず、といって何かを求めていたわけでもなかった。 つまり、自分にあると思っていた中…

生きている限りは人が亡くなるのを見続ける

「武田百合子全作品7『日日雑記』」(中央公論社)を読んでいたら、作家の深沢七郎が「(マリリン)モンローが死んだとき、生きているってことは死んだ知らせを聞くことだって思いましたねえ」と話したとあった。 私も、少し前からそれをよく考えていた。い…

「信じるなよ、男でも、女でも、思想でも。ほんとうによくわかるまで」

五味川純平の小説『戦争と人間』の中にこんな台詞がある。 親のない、兄と弟、この世でたった二人きりの身内の、この兄が、昭和の初め頃、戦地へ赴くことになった。その最後の夜に下宿の二階の布団の中で、兄が弟に語る台詞である。 「信じるなよ、男でも、…

ぴかぴかお月さん

今晩(20日の夜)のまん丸お月さんは、どうしたことか、ぴかぴかと、大変よく光っていた。雲よりも前にあるのかと思ったくらいだ。 2003年の3月20日は、アメリカとイギリスのイラクへの攻撃開始の日で、ある知人、うんと年上のベテラン編集者の亡くなった日…

息抜きもしたい

昨日、打ち合わせで久しぶりに都会に出た。 17時頃、もう1件の別の打ち合わせに向かおうとしたら、大規模停電の可能性ありとの情報があり、日比谷線の築地駅には人があふれてきた。 幸か不幸か、2件目の打ち合わせは火急のことではなかったので、日延べをし…

宮城の被災地現地からの友人の報告

私の中学校からの友人で、現在は宮城県で、一級建築士として建設会社に勤務しているF君から、メールが来た。 彼が無事だったことは、しばらくして確認したが、その時は、彼もまったくテレビを見ることができず、被害の実態はラジオからでしか知らない状況だ…

無計画停電がわが町でも実施された

今日の午後、私が住んでいる調布市でも、無計画停電が実施された。 昨日も、一昨日も、直前になって、送電の中止が中止になった。 今日は、予定の15時20分を数分過ぎて、電気が止まった。 日没までは、パソコンが使えないことを除けば、明るいうちはさして支…

読書を再開して

何となく、無力感と虚脱感を覚えて、報道からいったん眼と耳を離した。 そして、中断していた読書を再開した。 すると、少しだけれども、書くことへの意欲が戻って来た。

天神様の梅

午後、近所の天神様に行った。 境内は紅白の梅の花で満たされていた。 なぜか香りはあまり感じなかった。 静かだった。 小鳥の声が時々聴こえた。 震災から4日を経た。

「火事場の馬鹿力」の後の心の疲れにご用心

劇的な危機に直面すると、強靭な意志や行動力が出ることは、よくある。 昔から言われる「火事場の馬鹿力」だ。 それは一種の興奮状態なわけで、自分でも気づかないほどの精神的なエネルギーを要している。 しかし、用心すべきは、その後に来る心の疲れだ。訳…

人間の心を慰めるのは人間の心だけだ

普段の生活では、その人によって、いろいろなものが、苦しい心を慰めてくれる。 音楽を聴いたり、映画を観たり、自然を愛でたり、ちょいと一杯のつもりで飲んだり。 でも、本当に苦しくなったり、心細くなったり、希望を失いかけたりしたら、それを慰めるの…

静かに粛々と着実に生活しながら

朝、いつもと同じように起きて、コーヒーを飲み、夜、いつものように眠ることができる自分を、幸せに思う。 今、自分に何ができるのかを、考えながら、静かに粛々と着実に自分の生活を続けていこうと思う。 しっかり食べて、しっかり仕事して、しっかり寝よ…

「食える時に食っておけ」

「食える時に食っておけ」 私が子どもの頃、ぐずぐずと飯を食っていると、父に言われた。 「食える時に食っておけ」と。 これは「食事ができる機会にしっかり食べておかないと、いざという時に動けない。何よりも、次に食べ物を口に入れる機会がいつになるか…

原発はどうなるのか

地震で原発が危険な状態になっているという報道に触れた。現在18時少し前。どのような状態かは、私はもちろん責任を持って言えない。 そして、近くの人は、ハンカチで口をふさぐようにとか、窓を閉めるようにとか、屋内に入るようにとかの注意も報道された。…

なす術もないものかと思う

ゆっさゆっさと揺れた。思わず水槽を手で押さえたが、ばっしゃばっしゃと海水がこぼれた。 幸い、私と周囲は皆無事であった。 しかし、テレビの津波や火災の映像は、まったく眼を疑うものだった。 これほど大きな天災になると、その瞬間には、なす術もないも…

今日3月10日は

今日、3月10日は、私の父の誕生日である。 父は、1945年、いわゆる旧満州(現在の中国東北地方)にいて、終戦時のソ連軍の侵攻から命からがら生き延びた。そして戦後、私の母と結婚した。 私の母は、1945年の東京大空襲の時に、現在の墨田区向島にいて、アメ…

河口慧海の『チベット旅行記』

ドナルド・キーンの本を読んでいて、誰であったか人物を調べているうちに、河口慧海(かわぐちえかい)に行き当たった。 随分前に買ったきり読んでいなかった『チベット旅行記』(一〜五巻)(講談社学術文庫版)と『第二回チベット旅行記』(同)があったの…

山本敏晴写真展『ルーマニアの記憶』を観た

調布市で開催してる、山本敏晴写真展『ルーマニアの記憶』を観た。 ルーマニアで、子どもたちに対して「大切なものは何」と問いかけて、その答えを描いてもらったという絵と、その本人や周辺を写した写真の展覧会であった。 日々刻々と、絶えることなく、つ…

「あいつらはもう半分キノコだぜ」(映画『マタンゴ』より)

私が住んでいる東京都調布市は「映画のまち」ということになっており、「調布映画祭」が開催される。 毎年いくつかのテーマが設定されて特集上映を無料で行う。今年はテーマの一つに「偉大な映画人の足跡 本多猪四郎生誕100年〜ゴジラに神を宿した男〜』があ…

『老北京城與老北京人』

『私と20世紀のクロニクル』(ドナルド・キーン著、2007年中央公論新社刊)を読んでいたら、著者が、終戦直後に北京を見る機会を逸したことを嘆いている記述があった。「それは、無残にも近代化される前の北京だった」とある。 私が見た北京は、もちろん、キ…

いつでも会える関係なら会ってなくても寂しくない

電話で、ある人と久しぶりに話しをした。ずっと会っていなかったので寂しかった旨を伝えると、その人は、寂しくはない、と言う。 こちらが寂しいのに、あちらは寂しくないのかと、ちょっと淋しい気持ちがしたが、そういうことではない、と言う。 会おうと思…