生きている限りは人が亡くなるのを見続ける

 「武田百合子全作品7『日日雑記』」(中央公論社)を読んでいたら、作家の深沢七郎が「(マリリン)モンローが死んだとき、生きているってことは死んだ知らせを聞くことだって思いましたねえ」と話したとあった。
 私も、少し前からそれをよく考えていた。いや、マリリン・モンローの死に関してのことではない。
「生きている限りは人が亡くなるのを見続ける」のだなあ、とよく思うということだ。
 といっても別に、そういう境涯を嘆いているわけではない。
 ただ、自分が死ぬまでの間に、どれくらいの数か分からないが、また、縁が近いか遠いかによらず、とにかく人が亡くなることに触れ続ける、ということを考える。
 これは、ひっくり返って見てみると、人の死に接し続けるということは、自分が生きていることに外ならない、ということだ。
 生き続ける限り、私は、人が死ぬのを見続けるのである。