「火事場の馬鹿力」の後の心の疲れにご用心

 劇的な危機に直面すると、強靭な意志や行動力が出ることは、よくある。
 昔から言われる「火事場の馬鹿力」だ。
 それは一種の興奮状態なわけで、自分でも気づかないほどの精神的なエネルギーを要している。
 しかし、用心すべきは、その後に来る心の疲れだ。訳もなく心細くなったり、悲しくなったりする。
 そうでなくても、ずっと、被災地の人たちの苦しみに触れ続け、あるいは、自身がその渦中にあれば、なおさらだ。
 一息ついた後に、心に異常を感じるのは、ちっとも異常なことではなく、当たり前の人間の心の動きだ。
 だから、心が疲れたと感じたら、無理は禁物。これから長丁場で、踏ん張る場面が出てくるだろうから、休める時には無理せずに休むことも考えたい。