吉祥寺にあるとてもおいしい鹿児島料理店に行った

 干しタケノコというものを、鹿児島料理店で初めて食べた。いや、そういうものがあることも知らなかった。
 それを煮物にしたものだったが、少しもっちりとした不思議な歯ごたえがあり、香りがいい。水煮のタケノコとはもちろん全然違うが、新物の生のタケノコとも味を異にするものだった。塩出しをして戻して使うのだそうだが、干した食べ物って、本当においしい。手間はかかるだろうが、こういうものが、本当にうまい食い物なのだ。

 この店は、私の後輩の女性がやっている、うまい鹿児島料理でたくさんの種類の焼酎を飲ませるバーである。
 店主が女性であることもあるが、明るく、女性客のそれも一人で来る人が結構多い。野菜を、葉ものでも根菜類でも、きちんとおいしく食べることができることも、女性客の人気を集めているようだ。
 一方で、勤め帰りに、少しの焼酎と、少しの肴と、少しの野菜と、少しのおむすびと、少しのみそ汁を、ここのカウンターで、ゆっくりと味わっていく30代から50代くらいの男性もいるようだ。
 これは男女を問わないが、働き盛りで、朝は簡単に、昼は外食という人たちの中で、健康管理、というよりも、高い生活の質を求めているような人たちに、人気があるということのようだ。
 そういう、つまり、何というか、いい店なのである。
 
 さて、干しタケノコとサトイモ煮しめがお通しで、チヂミほうれん草のおひたしやさつま揚げを注文した。
 このさつま揚げは、きちんとした練り物の風味があり、その場で揚げてくれるので、まわりはさっくりとしており、中はほかほかと熱い。うまい。酒の肴にしたのだが、ぱくぱくと食べてしまった。

 ほかにも、いつも頼むものに、塩レバーというのがある。新鮮な鶏のレバーをさっと湯がいたものだろうか、ちょうどいい塩加減であっさりと味付けしてあるが、臭みがなく、しっとりととろけるようで、これは焼酎が進む。
 ポテトフライにバターとかつおの塩辛をまぶしたものも、もう、絶妙な風味で、やっぱり焼酎がうまいけれども、ここはエビスの生を出してくれるので、これにもとてもよく合う。
 鹿児島の郷土料理だという豚の角煮も忘れられない味だ。箸休めには、きゅうりと豚味噌もいい。

 私は、芋焼酎が苦手で、どうもこれを飲ると、人様にご迷惑をおかけするので控えているが、麦焼酎は大好きだ。ここには麦焼酎もいくつか置いてあり、いろいろな飲み方ができるのもうれしい。

 4人で行くと飲み放題と料理お任せでの2時間で5千円というのがあり、私は何度か利用したが、この店の看板料理がたくさん出てきて、飲むとあまり食べない私などには多いくらいだった。もちろん飲み放題なので、この時季だったら、私なら、まろやかで芳醇な麦焼酎のお湯割りを、くっくっと飲むのがいい。
 2月は、これを4人でなく2人からでもやっているそうだ。

 ああ、「がらんつ」を食べなかったなあ。あれはまた、酒が進む罪な肴なのだ。 

吉祥寺で鹿児島の焼酎と鳥刺しをどうぞ 酒盗料理 バー オハナ