久しぶりに痛風の発作が出た!

 以前に初めて痛風発作が出たのは、何年前だったろう。
 今日、明け方、じわじわと強まってくる痛みで覚醒した。
 それから夕方過ぎまで、痛みは強まる一方であった。痛みは前回と同様に多発部位である左足親指の付け根であった。
 その痛みのピークの時に、階段に、左足をぶつけた時は、悶絶して、涙が出た。
 今はだいぶ収まってきた。
 今日が取材や撮影だったら、本当に困っていた。
 前回は、京都に取材で出張した帰りだった。
 新幹線の最終に乗る少し前から、痛みが強まり、車内で堪え難い痛さとなった。
 新幹線の車両はいちばん端で、品川で降りてから、誰もいなくなったホームを端から、足を引きづり、重いかばんを下げて歩いた時は、泣きたくなった。
 しかし、その後、満員の山手線はもっと辛かった。
 もっとしかし、その後、京王線も辛かった。
 やはり満員で、既に気力も体力も忍耐力も限度にあった。私は立ったまま、脂汗をたらたらと流していたが、私の隣にくっついている若い男女の会話がいやおうなく耳に入り続ける。
「俺なんかさあ、やっぱさあ、けっこうウイスキーなんかも飲むんだよね」
「へえー、すごいね」
「東京駅の近くにさあ、行きつけのバーがあるからさあ、今度行かない」
「へえー、すごいね」
「まあ、前に親父によく連れて行ってもらったんだけどね」
「へえー、すごいね」
「やっぱさあ、けっこう、銘柄なんかもこだわるんだよね」
「へえー、すごいね」
 電車の揺れを、いつもより強く握ったつり革で、何とかしのごうとするが、体は揺り動かされ、少しでも踏ん張ると、そのたびに激痛が走り、失神するかと思った。いや、失神したかった。
 でも、その若い男女は、私よりも早く降りることはなく、私は自分が降車するまで、ずっとその会話を聴き続けた。
 あの光景と心情は今でも忘れられない。
 貴重な体験を盛り上げてくれたあの二人に対して、久しぶりの痛風に苦しんだ今日、心から礼を述べたい。