「私は元気をもらった」などと軽薄なことは言いたくない

 先日、相次いで、旧友と会った。大学時代と、中高時代の友人で、それぞれ別個に会った。
 二人とも、仕事などの関係で東京を離れていたのが、一時的に上京しての再会であった。
 二人とも、それぞれに事情があって疲労しているはずであったが、疲労していたのは私であった。
 二人とも、元気だった。ここのところ、私は仕事がいくつも重なってさすがに疲労がたまり、元気に歓迎できないのは申し訳ない、という私の気持ちは独りよがりであった。
 二人から、「私は元気をもらった」などと、軽薄なことは言いたくない。そんなくだらない紋切り型のことを言ったら、崇敬する旧友らに失礼である。
 二人の元気に、じっくり触れて、私は、ぐったりと疲れた。
 お二人とも、また、そう遠くない将来、私を疲れさせに来てくれ給え。