線香花火の火の玉みたいな月を見た

 午前3時くらいに目が醒めて、暑苦しくてどうにも眠れず、トイレに行こうとして窓の外を見ると、今まさに建物の陰から昇ろうとする月の、すさまじいほどの色を見た。線香花火の火の玉が、満を持していよいよ火花を散らす直前みたいな色だ。
 
 その色はあまりに不思議で、むしろ異様で、月だとは信じられないくらいだったので、もっとよく見ようと私は眼鏡を換えに部屋へ戻った。
 
 眼鏡は、屋内や仕事用と屋外や運転用の2種類を持っている。どちらも黄色い縁の白山眼鏡店のものだが、http://www.hakusan-megane.co.jp/
 
 屋内用だと、遠くはちょっと見えにくい。それで屋外用に換えてみると、そのすさまじさがもっとはっきり見えて、蜜柑がたっぷりと熟れ切って、そのまま燃えてしまうのではないか、と思うような色だった。
 
 しばらく眺め、寝床に戻ってからも、気になって、また、窓の外を見た。すると、まったくどこにも見えない。月の光さえも周辺にない。
 
 そうか、昇るのではなく、沈むところだったのだと思ったが、どうやら違うようだ、あれはタヌ公のやつが化けて出たに違いない。
 
 どうも私は、タヌ公が化けている月を時々見ることがある。