「日本の軍隊」

 先日購っておいた、岩波新書の「日本の軍隊−兵士たちの近代史−」(吉田裕著 2002年12月刊)を取り出して、昨日の打ち合わせの帰りの電車の中から読みはじめた。
 
 これは名著だ。知りたかったことが、よく出ている。明治以降の近代化と民衆生活と軍隊との関係と実相とを、著者(私より10歳年上で日本近現代史が専門の大学教授)は、実にいろいろな資料を渉猟している。書こうとしている視点も明瞭だ。まだ最初の方を読んだだけだが、従来から一部にあったような、批判的な視点からだけの研究書とも違うようだ。
 
 以前私は「日本映画の中に見る日本軍隊の生活風俗」という企画を出したが、まったく問題にされなかった(当たり前か)。また「軍隊のヘルメットの形から国際史が分かる」という企画も出したが、さらにまったく問題にされなかった(実はおもしろいと思ったんだけどなあ)。
 
 私のこんないい加減な企画とは違って、「日本の軍隊−兵士たちの近代史−」のような本が出版されていることに、私は、深い感謝と、深い敬意と、深い嫉妬を感じるのであります。