「灰とダイヤモンド」

 アンジェイ・ワイダ監督のポーランド映画灰とダイヤモンド」を観た。
 
 初めてこの映画を観たのは、学生の頃で、歴史的な背景も知らず、よく理解できなかった。やがて少しポーランドの現代史を知って、その後、何回か観たが、まだまだ理解できないこと、場面、心情が多かった。
 
 それが、今観て、まったく突然、すべてが理解できただけでなく、非常にすぐれた映画作品として目の前に現れた。衝撃的なくらいである。この映画がどれくらいすばらしいかは、ここでは書かない。簡単には書けないであろう。
 
 そういえば、これと同じ経験を、少し前にしたことがあった。溝口健二監督の「西鶴一代女」を観た時だ。これも学生時代に観て、その芸術性の高さだけでなく、内容もよく分からなかったのが、やはりまったく突如として、すべてが理解でき、そのすばらしさが分かったのである。
 
 ワイダ監督の映画は、他にも何本か観ているが、今、あらためて観たら、やはり同じような体験をするだろうか。「コルチャック先生」あたりで試してみようか。
 
 しかし、この映画は、相当に精神を消耗するだろう、傑作であることと、その歴史的事実ゆえに。