野菜がうまい

 最近、食生活に気をつけるようにした。我が半生で、初めてのことである。
 東洋医学に興味があり、心理カウンセリングの資格を持ち、食品の心身に及ぼす影響というものも少しは知識として知っており、人間の生き方というものを自分なりに考えてきて、それでも「太く短く生きるんでえ」とか思っていた。
 いや、そう思っていたのは表面だけで、本当は少し怖かったのである。
 さて、そこで半月ばかり前から、ほんのちょっとずつではあるけれども、これまでの食生活の良くなかった部分を改善している。
 白砂糖を極力摂取しない、肉類を極力摂取しない、間食をしない、脂肪分を少なく、牛乳を少なく、野菜を多く、毎日何を食べているか記録する、などなど。
 もっとも、これまでも、時によって海藻やキノコ、大豆食品をたくさん食べてはいたが、こうして気をつけると、野菜がうまく感じられる。近隣の農家で作った地場のものや、ご近所の家庭菜園のおすそ分けなどの野菜はことのほかうまく、食べれば食べるほど、もっと食べたくなる。同時に、あれほど好きだった肉類にそれほど魅力を感じなくなりつつある。
 たった半月であるけれど、最も顕著に感じるのは、“通じ”である。これまでもそれほど不調ではなかったが、量が多くなり、様態も今までとは違ってきている気がする。
 空腹を強く感じることもあるし、たまには菓子なども食いたいと思うから、あまり無理しないようにはしている。
 しかし、こうした食生活が苦痛にならず、むしろ愉しいと感じるのは、自分の中のセンサーがまだ完全には狂っていなかったのだろうと思う。それは本当にありがたい。
 まあ、まだ半月くらいだから、どこまで続くのか分からないけれど、なかなか愉しい体験ではある。