キムチを漬けたら

 もうそろそろ牡蠣(かき)の季節が終わってしまうので、牡蠣を使ったキムチを漬けた。
 白菜キムチ、大根キムチ、それと明太子も漬け込んだ。
 台所に材料を広げて、作りながら写真を撮った。いずれホームページに載せるためである。
 つぶしたにんにく、おろしたしょうが、刻んだ長ねぎとにら、それに細かく切った牡蠣、おきあみの塩辛、魚醤、韓国産とうがらしなどの香りが渾然となって台所に立ちこめた。
 それはまさしく、アジアのどこにでも見られた本来の市場の香りであった。陶然とするような香り。
 加工済み、パック詰め、完全密閉の食品ばかりが並ぶスーパー市場(マーケット)では絶対にかぐことのできない香り。
 においの刺激も、感覚を鋭敏にする大事な触媒なのであった。