青い夕暮れ

 午後5時半頃、外に出てみたら、周囲が全部、墨を混ぜたような青く沈んだ世界になっていた。
 空がそういう色で、少し霧も出ていたからか、空気が全部、空と同じ色になっていた。
 この季節は、こんな色の空を見ることができる。でも、少し早い時刻だともっと色が明るいし、少し遅くなれば、たちまち真っ暗になってしまう。
 映画『秋刀魚の味』(小津安二郎監督、1962年)の中に、そんな空の色が2回出てくる。団地の上に広がる夕空の色だ。団地の手前にはまっ黄色の外灯がある。この場面での音楽もとても良い。
 その場面を見ても、この目でそんな空を見ても、少しほっとして、少しさびしいような、おだやかな気持ちになる。
 今日は、青い絵具を全身に浴びたような、少し倒錯的な気持ちになった。