ああ旅愁の中央アジア

 武田百合子の『犬が星見た』(中央公論社)を読んでいたら、もう無性に、中央アジアを旅したくなった。
 この作品はソ連旅行記で、中央アジアタシケントサマルカンドまで足を伸ばしている。飛行機から天山山脈を見て、山脈の向こう側にタクラマカン砂漠が広がっている、と乗客らが話している場面があった。
 その向こう側、まさにタクラマカン砂漠からパミール高原を、私はかつて旅したのだ。汽車とバスで。
 ああ、旅のそぞろ神が、誘うなあ。