最果ての雪の街を旅した夢

 列車に乗っていると、窓の外に、綿のような雪が降り続いている。本当に綿菓子をちぎったような雪。やっぱりこんなに北国まで来ると、雪も違うんだな。
 そのローカル線の終点で降りて、宿に泊まることにする。宿といってもプレハブのバンガローのような所で、食事も出ないらしい。山の中ではなく、街外れだが、いや本当に北国の最果ての地といった感じだ。遠くまで来たなあ。
 椅子とテーブルが並んだ、半分屋根のある屋外の共同スペースで本を読んでいると、灯油を買いにお客さんが来た。ここらでは、灯油を文字通り明かりの燃料として使っていることを知る。そして、商店が極端に少ないこのあたりでは、この宿で灯油も売っているのだ。
 しかし、今晩の食事はどうしよう。
 椅子から立ち上がって、雪が積もった道路の方へ首を伸ばすと、あ、近くに小さなラーメン屋がある。今やっていないけど、夜になったら開くのだろう。
 競合する店もない、たった1軒の飲食店だし、店の構えからしても、味にはまったく期待できないな。でも、それも旅情だな。味の薄い味噌ラーメンでも食うかな、せめて唐辛子をたくさん振りかけて。
 だいぶ、冷え込んできたなあ。そろそろ部屋へ引き上げるか。