啓蟄を過ぎて

 3月5日が啓蟄で、その翌日だったか、雨上がりの玄関前に大きなミミズがのたくっていた。
 丸々太っていたので、ミミズには気の毒ながら、クサガメの餌になってもらおうと思って、飼育容器に投げ込んだ。
 だが、三寒四温の中で、クサガメは完全には目覚めておらず、通常は4月になってそこそこ気温が上がらないと、なかなか餌を食べてくれない。
 どうなることかと思って見ていると、目の前でくねくねするミミズに触発されたものか、かぶりつこうとする。だが、動きが緩慢でなかなか噛みつくことができない。ようやく噛みついたけれど、普段のように手でむしることもうまくできない。
 しかし、このカメもこの厳しい冬を乗り越えられたようで良かった。
 そういえば、夜道を歩いていたら、クモの巣が顔にかかった。クモも活動を開始したようだ。
 夜霧もかかっていた。
 けれども、やはり三寒四温で、今夜は冷え込みそうだ。