親不孝かジーパンか

 宮古島、沖縄とあわせて5日間の旅行中から、左手の人指し指に「ささくれ」ができていて、これが傷が深く痛い。血も出ちゃった。
 
 幼少の頃に「ささくれができるのは、親不孝をしている証拠だ」という、実に強迫的な俚諺を聞いたことがあり、ささくれ発症のたびに、「今何か、自分は親不孝なことをしているのではないか」「しかし、さっぱり思い浮かぶこともないし、思い浮かばないことそのものが最大の親不孝なのではないか」と、40年以上苦しみ続けてきた。
 
 実際には、疲労やビタミン不足が原因と思われるが、このたびのささくれは、この5日間着用し続けた、天下第一に似合わないジーパンが原因のようだ。
 
 軍服を除いては、世界一じょうぶと思われる服の布製のポケットのふちに手を出し入れするたびに、引っ掛かって、ささくれができる。
 
 デニムのこのパンツは、意外にパンツッパンツッなので、いやパッツンパッツンなので、財布や携帯電話、ハンカチーフを出したり入れたりするたびに、親不孝の証拠の傷が深まっていたのだ。
 
 昨日も、ムック『インテリアアクアリウム』の撮影で、長時間このジーパンを着用していたので、ささくれは深まった。
 
 しばらくは、これの着用をやめてみよう。そうすれば、ささくれの原因が、親不孝でないことが証明されるであろう。