簡易型牽引運搬器 通称ガラガラ

 沖縄県宮古島に演奏旅行に行くに際して、楽譜や着替えはザックに詰め込むが、楽器をハードケースで運ばなくてはならないので、横文字でキャリアーとでもいうのか、金属の骨組みに車輪と把手が付いた運搬器を入手した。これにケースを縛り付けて、手で引いて運ぶというわけだ。
 
 少し前から、駅などで、車輪の付いたカバンをガラガラと引っ張っている人が非常に増えて、急に旅行が大流行したのか、私の知らない独特の大きな荷物が出現して流布したのか、大きなカバンを持ち歩く力がない人が増えたのか、不明だが、私には、あのガラガラ引っ張るカバンは、ちっとも楽そうに見えない。たぶん私が使ったら、右に左に蛇行して、人様に迷惑をかけてしまうだろう。だから、今度の旅行で使うのも不安だ。
 
 私は、これまでの旅行で、完全に両手がふさがったことがないのはもちろんで、片手がふさがることもまれだ。
 
 これまでバックパックで旅行をしたが、バリトンホルンのハードケースを持ってマレーシアに行った時は、ケースの把手に輪ッかを付けて、カバンの肩掛けバンドを付けて肩から吊って歩いた。だから基本的には両手は空いていた。それでも相当な荷物で、途中でイヤになったが。
 
 もし、空港や駅などで、突然、銃声や爆発音が聞こえたら、荷物を肩に担いだまま空いた両手をしっかり振って走ることができないと、不安なのだ。
 
 幸い、そんな目に会ったことはないが、自分の持ち物に執着があるので、簡単に手放したくないという、私のケチな了見のあらわれなのだ。