「幸せはシャンソニア劇場から」
先日、「幸せはシャンソニア劇場から」というロードショー映画を観た。第二次大戦前夜のパリの大衆小劇場を舞台にした映画だ。ここでは詳しい筋書きやレビューは書かないが、興味をそそられたことがあった。
映画の中で、ナチスそっくりの反ユダヤ主義・民族主義の団体が出てくる。うっかりすると「あれ、ここはフランスでしょ。フランスはナチスと戦争をした国じゃないか」と思ってしまうが、私は「ははあ、これは『火の十字団』やそれに近い政治結社のことだな」と思った。
アメリカ、イギリス、フランスなど、ナチスドイツと熾烈な戦争をした国にも、第一次大戦後の大不況の中で、こうした団体ができた。いわく「自国民が不況で苦しんでいる中で、ユダヤ人だけは儲けている。ユダヤ人を追い出してしまえ」というわけである。
古今東西、不況になると、こうした考え方が勢いを増してくるのは、変わりがないようだ。